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チョイス自治体職員部門
福岡県北九州市
感染症を契機に変わる・変える。ふるさと納税による地方創生
職員
内海 友宏
ふるさと納税は未知の事態に真価を発揮します。本市は数年前まで寄附件数・金額ともに受入れが多くはありませんでした。その状況を打破するために、市職員自らが先導して取組強化に努め、地場産品の開発・磨き上げや新型コロナウイルス感染症対策に充てるためのGCFを素早く立ち上げ、R2年度には過去最高の約12億円、約65千件の多くの寄附をいただける結果となりました。
本市ではこれまでふるさと納税に関する運営業務の全てを仲介事業者へ委託をしていました。そのため、返礼品提供事業者との信頼関係も築けていませんでした。それを改善するために、平成30年度から寄附証明書・返礼品受発注処理などのバックヤード業務は委託、それ以外の返礼品の発掘・PRを地元出身の市職員自らが行う体制へ変更。市内各地を足しげく通い、パソコンの操作方法のレクチャーやECサイトの価値を伝えるなど事業者と信頼関係を築き、地場の魅力あるモノを返礼品に加えて磨き上げることにより、返礼品の魅力が大きく向上しました。
さらに本市の「モノづくりのまち」という特長を生かし、これまで部品や金型加工をしているなど一般の消費者にはちょっと遠いところでお仕事をしていた方とタッグを組み、アウトドア・キャンプ用品を新たに開発するなど、モノづくりの技術の粋を集めた返礼品を導入するなど市の魅力を発信しました。
そのような中、今回の感染症で外を出歩くことができなくなったときにECが大きく注目を集め、ふるさと納税もその影響を大きく受けることとなり、これまで3年間で取り組んできた効果が大きく出ることとなりました。コロナ禍においては飲食店の休業による地場産品の消費の減少を補う大きな効果をもたらしました。
また、本市では感染症対策事業に対して寄附を求めるGCFを立ち上げました。仲介事業者に任せず、市職員自らが関係者と調整するなどを行い、関係機関のご協力もあったことから短期間でGCF立ち上げることに成功しました。その後、2020年5月中旬頃から新型コロナウイルスの第2波が全国に先んじて本市で発生するなど危機的な状況に陥ることになりましたが、全国の皆様からのご支援がGCFに集まり、約7400万円もの寄附が集まりました。
ふるさと納税は困っている方を救うことができる貴重な制度であることが今回の契機で証明することとなりました。市内の事業者も、寄附をくださった多くの方々も、一人一人の想いがふるさと納税を通じて地方の創生に向けた行動を起こす良いキッカケとなりました。
審査員のコメント
株式会社WHERE
平林 和樹代表取締役
ふるさと納税の取り組みを通じて、地域に何が残るのかということに向き合ってきたからこそ、成果が数字に表れているのだと思います。事業者に対して、ふるさと納税だけに頼らない中長期を見据えての提案しているところが素晴らしいです。今後の取り組みもすごく楽しみになるような内容でした。