大賞受賞自治体の取り組み紹介
ふるさと納税を通じて生まれたストーリーや地域で頑張る人を表彰する、ふるさとチョイスAWARD。
ふるさとチョイスはAWARD2021で大賞を受賞した自治体を訪れ、地域の活動やそこで暮らす人たちの想いを伺いました。
今回は高知県馬路村の取り組みをご紹介します。
チョイスルーキー部門 大賞 高知県馬路村苦境の中で生まれた「ありがとう」の循環
人口約830人、森林面積約96%の 小さなゆずの村
馬路村は、高知県東部の山間部に位置する人口約830人の小さな村。
高知市内から車で1時間40分ほど走ったところにあり、標高1,000m級の山々に囲まれ、村の森林面積は約96%。かつては、林業の村として栄えており、魚梁瀬杉は高知県の県木にも指定されています。
昭和40年頃、林業の衰退と入れ替わるようにゆずの本格的な栽培が村のあちこちで始まり、現在では全国に出荷される村のゆず製品とともに「ゆずの村・馬路村」の名が広く知られています。
村内で広がる、 医療従事者を労う声
世界中に広がった新型コロナウイルスの猛威は、この小さな村にも影響をもたらしました。
村の診療所や近隣の病院で日夜、対応にあたる医療従事者は心身ともに疲れ切った表情で、その様子を心配する家族らの姿もありました。
そんな中「医療従事者に感謝とエールを送りたい」という声が多くの村民から上がり、馬路村役場と村内の事業所が協力し医療従事者に感謝とエールを贈るプロジェクトがスタートしました。
馬路村の特産品に込めた 「ありがとう」
プロジェクトでは、馬路村のゆずを使った特産品「ごっくん馬路村」や馬路温泉の入浴券、魚梁瀬杉を使った木のコースターを村内や近隣の医療従事者に贈ることが決まりました。
このプロジェクトを推進するメンバーの一人であった馬路村職員の西川哲人さんは、感謝の気持ちがさらに伝わるようにと、特産品に「ありがとう」のメッセージを入れるオリジナルデザインの作製を提案しました。
寄付者にも、 馬路村の風と感謝を届けたい
「ありがとう」を込めた特産品が医療機関に届くと、受け取った方々から「ありがとう」と、逆に大変感謝されたという経験をした西川さん。次第に「感謝を伝え合う循環をもっとたくさんの人に広げられないか」と考えるようになりました。この時、西川さんは村のふるさと納税担当に就いて一年目。馬路村を応援してくれている多くの寄付者がいることに気づき、村のファンの方々にも同じように「ありがとう」を伝え合えるよう、お礼の品にメッセージを入れる取り組みを始めました。
馬路村農協でつくっているお礼の品には、以前から、「村外の人にも村の景色がありありと思い浮かぶような、そんな品を届けたい」と言う想いから「馬路村の風を届ける」というコンセプトがありました。この景色に加えて、村民からの「ありがとう」を一緒に届けられればと西川さんは語ります。
馬路村のいちばんの魅力は『人』
西川さんに、「この村の一番の魅力は何ですか?」と尋ねると、真っ先に「人です。」と答えが返ってきました。
西川さんは高知県内に生まれ、大学卒業後に馬路村役場に入庁し、馬路村での暮らしを始めました。「すれ違えばみんな挨拶してくれたり、野菜をくれたり、お酒の席に誘ってくれたり。
村外出身の僕にも、当初から本当にみなさん良くしてくれました。」と笑顔で話す西川さん。
小さな村の中で輝く自然や人々の暮らし、そして笑顔あふれるあたたかい村の空気を自分たちのような若い世代が守っていきたい、と語りました。
この地域であなたが
未来に残したいものとは?
人が元気で、
自然と共生する村の暮らし
西川哲人
高知県 馬路村
高知県の東部、安芸郡の中北部に位置する森林面積約96%、人口約830人の山村。古来より杉の産地として栄えた村で、かつては西日本最大の森林鉄道が運行していた。現在は、ゆずを使った加工品が全国に流通しており「ゆずの村・馬路村」として広く知られている。