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チョイス自治体職員部門
島根県海士町
ふるさと納税の原点回帰へ 地区版ふるさと納税
自治体職員
松田 昌大
海士町(あまちょう)は日本海に浮かぶ人口2200人の小さな離島です。
2020年からふるさと納税に力を入れ始め、人口の少ない離島にもかかわらず2億円近くご寄付を集めることができました。いただいたご寄付の出口作りに力を入れており、島内産業への投資を行う未来共創基金をはじめとする9項目の使い途を策定しております。
いずれもすべての住民に向けられているのですが、それを実感できる機会は多くありません。住民に当事者としての実感を持ってもらい、積極的にふるさと納税に参画を促したい。出郷者や島に関係を持っていただいている方々にも、思いのある場所に還元できるようにしたい。その思いを形にするために、「地区の振興に関する事業」の活用を加速させました。
これは、住んでいた集落やゆかりのある地区を応援できる使い途です。島内14地区に分配され、祭りの復興や清掃費用など、地区ごとに使わせてもらうものです。寄付の際に地区を指定すると、その地区に寄付額がいくようになっており、出郷しても故郷や家族の住む場所を応援できます。
この使い途を各地区の区長に説明し、区長から各地区の住民に説明してもらうことで、ふるさと納税が自分の生活範囲まで影響があることを理解してもらうことができました。その結果、他の使い途も知ってもらうきっかけにもなりました。今まで役場だけであった活動も、各地区の出郷者向けの広報に掲載されたり、住民が島外の家族や友人にも声をかけはじめる、といった動きが出始めました。
小さな自治体だからこそ、住民の方々にしっかりと取り組みを知ってもらうことがどれだけ大事かを理解することができました。