チョイス事業者部門
岐阜県飛騨市
飛騨牛の母牛に新たな価値を見出し、地域全体の良いサイクルを
株式会社飛騨岐阜人
大下 哲矢
年間約6,000頭出荷されるブランド牛飛騨牛。その多くの飛騨牛を産む母牛はあまり注目されませんでした。
これまで飛騨牛の母牛の平均出産数は7から8産程、それが今では10産の母牛もいるほどになりました。飛騨牛の需要が増え続ける中、出産を経験した飛騨牛の母牛は高齢になり、肉用牛としての取引が難しく廃用牛として扱われてきました。そのことが一頭あたりの出産数の増加にも繋がるだけでなく、出産頭数が多くなった母牛は高齢にもなり、産まれてくる飛騨牛の品質にもばらつきが大きくなるといった問題も起こっていました。
そこで飛騨牛の母牛に新たな価値を与え、その良さを知ってもらおうと始まったのが飛米牛のプロジェクトです。出産を経験し、肉用牛としての取引が難しかった母牛を飛騨の美味しいお米を飼料に配合し、お姫様のように大切に育てました。すると、霜降りが美しい飛騨牛とは異なる味わい深い赤身肉がクセになる和牛に育ちました。その母牛は、ヨーロッパにも輸出され赤身肉の和牛として評価を得ています。
ふるさと納税では飛米牛切落しが人気を集め、昨年12月時点では最大8ヶ月待ちとなるほどの大きな販路の一つとなりました。このことにより飛米牛の取引価格は安定し、出荷頭数が増え、結果的に母牛の出産数を抑えて飛騨牛の品質向上にも繋がりました。今後もふるさと納税を活用し飛米牛を全国に広め、母牛の価値向上に努めていきます。